第19回 (2016年度)・仲野徹先生(大阪大学)

清水 秀幸 (博士課程3年)・比嘉 綱己 (博士課程3年)

過去18回にわたって一流の科学者の先生をお呼びしてきたSSSの実行委員という、今後のキャリア形成を考える上でもとても貴重な経験を今回させていただきました。

お話をお伺いしたい先生として多くの声が上がった大阪大学の仲野徹先生は、科学はもちろんのこと、本や各方面のコラムの執筆などで大変ご活躍していらっしゃるので、そのように多忙を極める大先生が学生主催セミナーをお引き受けしていただけるとはとても思えず、演者のお願いをするメールを出す前は文面を何度も読み直し、不安が入り混じりながら送信ボタンを押しました。すぐにOKのお返事をいただくことができ、博多駅へのお迎えもお断りになり当日生医研の玄関に歩いてお見えになったのを見て、そのフットワークの軽さに驚き、これが一流の科学者なのだなと大きな勉強になりました。

ご講演ではなぜ血液の研究なのかというところから始まりPIになられるまでのこと、どうして分野を変えて生殖細胞に手を出したのか、そして最近の研究についてのトピックスといったサイエンスについての話もとても勉強になっただけでなく、最後の若手研究者へのメッセージ、特に「やりたいこととできることは違う」「相場観を身につける」のエピソードは大変感銘を受けました。先生の素晴らしいご講演、そしてその後の非常に多数の質疑応答で盛会のうちに19回SSSを終えることができました。

そしてその後の懇親会では、現在第一線でご活躍されている先生方の昔話や、いかにPIになるか、そしてPIになった後のご苦労話などをとても詳しく教えていただき、2次会でも夜遅くまでさまざまな話題について先生のお考えや生き様を拝聴することができました。

個人的に一番驚いたのは、生命科学系の大学院生なら知らない人はいない仲野先生でさえ何度もやめようと思ったということです。常にホームランを打ち続けてこられた先生なのだろうと勝手に思っていましたが、実際には我々と同じでうまくいかないことの方が多いということを知り、ご講演とも少し重なりますが正しい努力とはこういうことかというのを強く感じました。先生から学ばせていただいたたくさんのことを、今後の糧にしていく所存でございます。

最後になりますが、ご多忙にもかかわらず我々の無理なお願いをご快諾くださり、たくさんのメッセージをいただき誠にありがとうございました。どれくらい先のことかは分かりませんが、もし何十年か先にどこかの学生さん達に話をする機会があったときには仲野先生のメッセージも含めて後進の人たちに伝えていければと思います。

(清水 秀幸)

このたび、SSSの実行委員という貴重な経験をさせていただけたことに感謝申し上げます。お話を伺ってみたい科学者として最も要望が高かった大阪大学の仲野徹先生は、以前からブログや本を拝見させていただいてとても素敵な先生だなと思っていたので、運営の準備に追われながらもワクワクした気持ちで当日を迎えました。

選手時代もPIになられてからも、細胞分化やエピジェネティクスの分野で常に最前線を走ってこられた仲野先生。スライドには見入ってしまうほど洗練されたストラテジーと美しいデータが並んでいましたが、その裏には並大抵ではない努力と失敗の連続があったことを、講演会でも懇親会の席でも赤裸々に語って下さいました。しかしそこに悲愴感や苦労自慢は微塵もないばかりか、むしろ軽妙なトークで笑いに変えて聴衆を沸かせると同時に、ご自身でもガハハと笑い飛ばしておられる姿が大変印象的でした。研究者としては雲の上の存在で自分には憧れる資格すらありませんが、その人間味溢れるユーモアと豪快で一切飾らないお人柄に、理想とすべき「かっこいい大人像」を見出したのは、おそらく私だけではないと思います。

仲野先生は、「生命科学は受難の時代である」と明言されながらも、だからこそ積極的に環境を変え、あえて興味の対象を広げていくことで柔軟性を身につけるべきだと強調されていました。時勢を的確に捉え、また若手研究者の将来を親身になって考えておられるからこそのアドバイスであり、その力強いメッセージに勇気づけられ、闘志が漲ってくる思いがしました。

明るく前を向いて進んでいくための勇気とパワーと、そして大先輩の実践的な生きる知恵を授けていただいた、大変貴重な時間となりました。足元すらもおぼつかない身の上ですが、研究者としても人間としても、自分にとっての「星」が何なのかを常に考えながら日々を過ごしていきたいと強く思いました。

最後になりましたが、大変お忙しい中、私たちの無理なお願いを快く承諾してくださった仲野先生、本当にありがとうございました!また、SSSの開催をサポートしてくださった関係者の皆さま、ご来場いただいた皆さまに心より感謝申し上げるとともに、この素晴らしいイベントがこれからも続いていくことを祈念いたします。

(比嘉 綱己)

参加していただいた学生および先生方より御感想をいただきましたので、以下に紹介させていただきます。

念願かない仲野先生のお話をじっくり拝聴でき、とても有意義でした。特に「生命科学受難の時代をいかに生き抜くか」についてのお話しで、日頃もやもやしていた頭の中が少し整理できました。サイエンスも一流なのに趣味の世界も堪能され人生を謳歌されているお姿を見て、どうしたらこんな風に生きられるのだろうと疑問でしたが、お話しするうちに少し分かった気がしました。そして豊かな才能に加えて大変暖かいお人柄に、科学の世界にもこんな先生がいて嬉しいなと感じました。ありがとうございました。
仲野先生のご研究はもちろんのこと、研究者としての生き方や考え方について拝聴することが出来てとても勉強になりました。特にPGC7/stellaの核内移行と発生における役割について、ご苦労された点などを含めたお話は大変興味深かったです。必要になる実験ステップを確実に踏みながら、結果を積み重ねることが大事だと感じました。仲野先生のお人柄に魅了されてあっと言う間のご講演でした。研究者として生きることは大変なことですが、先生のおっしゃる「相場感」を意識して、自分の研究を客観視すると同時に単位時間当たりの研究成果を最大に出来るよう努力していきたいと思いました。
事前にブログや著書などを拝見し、当日を楽しみにしておりましたが、サイエンスは勿論のこと、その絶妙な語り口に引き込まれ、2時間半があっという間の講演でした。特に研究人生で本当に辛かった時期の話を、PCRやさきがけといった一流の(?)ギャグを交えながらも赤裸々にお話しいただいたのが印象的でした。また、数々の教訓は非常に共感するところが多く、今後の研究者としての方向性を見つめ直す、大変貴重な機会になったと思います。多忙極まる中お時間を割いていただき、心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
仲野先生、今回は分子医科学分野主催のSSSを快く引き受け下さったこと、心より感謝申し上げます。当日のセミナーではエピジェネティクスを主に非常に興味深い研究内容をお話し頂いた上、今後の科学界、また科学者を目指す者の心得についてとても考えさせられる内容のお話を聞かせて頂きました。特に先生は科学の面白さだけでなく、人間味のある笑いを含めてプレゼンテーションされており、自然と聴衆である私達は先生の話に魅了されてしまっていたかと思います。私は簡単に先生のようなプレゼンテーションを真似は出来るとは思ってはおりませんが、仲野先生のように聞き手の心を惹き付ける、また魅了するようなプレゼンテーションが出来る科学者になりたいと思いました。今後科学者を目指すには厳しい現実も待ち構えていると思いますが、しっかりと運も引き寄せられるよう努めて参りたいと思う所存です。先生今回は非常に忙しいなか、ご指導ありがとうございました。
仲野先生、先日はお忙しいところ、またご遠方から、福岡までお越しいただきありがとうございました。ご講演では、先生のこれまでのご研究の流れを、たくさんのユーモアを交えながらお話しくださり、大変参考になりました。特に、留学するときに大きくテーマを変える勇気を持つべきだとのお言葉が印象に残りました。私もまだまだ研究を始めたばかりですので、様々なことに興味を持ち、好き嫌いせずに取り組んでいこうと思います。また、飲み会も2次会までお付き合いいただき、科学のお話以外にもたくさん参考になるお話を伺うことができました。まだまだ長い研究生活、PCR(Pah -の方)に気を付けながら楽しんでいこうと思います。本当にありがとうございました。
遠路遥々ご多忙の中、貴重なお時間を割いて頂きありがとうございます。先生の研究内容のみならず、先生がその当時どう考え、どう研究を進められたかを細かく説明して頂けたので、言い過ぎかもしれませんが、先生の研究生活を疑似体験したような感覚になりました。SSSならではのご講演をして下さり大変貴重な時間でした。先生がおっしゃった、周りの人の研究を自分に置き換えてシュミレーションすることや、研究で本当に喜べる時は5年〜10年に1度あったらいい方ということなど、私が研究をする上で何を日頃から心掛けるかが明確になりました。土台は堅実に積み重ねながらも、星もしっかりと眺めておく。研究者のあるべき姿を説いて頂いたように感じます。先生にお会いできる機会が得られて大変幸せでした。ありがとうございました。
仲野先生、大変貴重なご講演をどうもありがとうございました。造血幹細胞から始まり現在のエピジェネティクスに続くまで、第一線でご活躍されている先生のお話はとても刺激的でした。また研究人生のお話も非常に興味深かったです。先生が何度もやめようかと悩みながらもこれまで研究を続けられてきて、今のような一流のサイエンティストとなっていることには勇気をもらえました。研究において本当に嬉しいことなんて5年や10年に1度きり。そう心に銘じて、日々の研究を一歩一歩進めていきたいと思います。
今回、お忙しいなかSSSにお越しくださりありがとうございました。先生の研究の変遷と、現在の研究についてたっぷりとお話しいただき、とても楽しい講演でした。所々に入る先生の軽妙な語り口が、講演をより魅力的なものにしていたと思います。「何度もやめようと思った」と先生は軽く仰っていましたが、そこから現在に至るまでの葛藤や苦労を感じさせない話し方は流石だと思いました。最後に仰っていた生命科学のこれからに関しては、これからの時代を生きる我々にとってとても重要なご示唆だったと思います。科学者が科学だけをしていればよい時代は終わったのだろう、というのが私の感想です。飲み会ではより砕けた感じで、学生たちの話に耳を傾けながら話をしてくださったと思います。笑顔の絶えない飲み会という言葉が本当にぴったりで、ずっと話をし続けられたらと本気で思ってしまうほどでした。先生の研究と文化的活動が今後ますます発展するように祈っています。また、私たちもこれからの時代を生きるために研究者としてどうあるべきか、考えて日々を過ごしていきたいと思います。今回は本当にありがとうございました。
仲野先生、お忙しいなか福岡までお越し下さり、本当にありがとうございました。こんなに笑った講演は初めてでした。笑わせて頂いただけでなく、研究人生にとって貴重なお話を多く頂きました。今回自分にとって一番印象的だったお話は、「足元を見つつ、でも星を見なさい」、ということです。実をいうと私は、自分の今の研究が星をみるようなテーマではなかったこともあり、学位を取るためだけのテーマだと割り切って考えていた面もありました。しかし先生のお話を聞いてはっとしました。自分のテーマが自分の分野、ひいてはサイエンスの中でどんな位置付けにあるのかを考え、自分の足元と星との位置関係を把握しないといけないと。そうすれば、もしかしたら星への道が見えてくるかもしれないし、もしそうでなくても自分の研究が小さいながらも生き生きとしたものになるはずです。とても基本的なことですが、今これに気が付けて本当によかったと思いました。
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九州大学 生体防御医学研究所
分子医科学分野
清水 秀幸 (博士課程3年)・比嘉 綱己 (博士課程3年)