第14回 (2011年度) 大隅良典先生 (東工大)

細田 將太郎・蟹江 共春・片山 雄太(博士課程3年)

6回目にしてついに得たSSS担当者の席、きっと最高の経験ができると考えていましたが、会を終えてみると予想をはるかに上回る体験ができました。今回も例年通り、学生のみなさんに「今一番ご講演を聴いてみたい先生は?」というアンケートをとった結果、最も要望の高かったオートファジー界の第一人者でいらっしゃる東京工業大学の大隅良典先生にご講演をお願いすることになりました。大隅先生宛にご講演依頼のメールをお送りすると、敬意を表してお引き受け下さるという返事を頂き、実行委員一同とても感動しました。

SSS当日、会場のセットを終え、いざお迎えの準備をしようとキャンパス内を歩いていると100 m先に大隅先生らしき姿を発見、走ってご挨拶に向かいました。急なご挨拶にもかかわらず快く私たちのことを受け入れて下さり、とてもお優しい先生なのだとすぐに分かりました。

ご講演はとてもわかりやすく、オートファジー研究を始める前までの研究生活、モデル生物酵母の有用性から始まり、オートファジー研究を始めたきっかけ、遺伝学的スクリーニングによるAtg遺伝子の同定、そしてこれまでの研究とオートファジー研究の今後について先生の考察も交えて説明して下さり、とても楽しくご講演を聴かせて頂きました。ご講演の中でもとても感動した言葉があります。それは、「私がこうして今研究できるのも先人達の積み上げてきた知恵や成果のおかげ,周りのサポートのおかげで、私が無人島でオートファジーの研究ができるかと言われれば決してそんなことはない。」でした。この言葉からも分かるように先生の素晴らしいお人柄がにじみ出ていると思います。

ご講演後は、懇談会にもお付き合い頂き、留学に対してのアドバイス、今後の研究についてのアドバイスなど多くの事を教えて頂き、ご講演中に聞けなかった質問も丁寧に答えて下さりました。本当に貴重なアドバイスを頂きとても有意義な時間を過ごすことができました。先生遅くまでおつきあい頂き本当にありがとうございました。

この度、念願のSSS担当をさせて頂けたたことで、大隅先生のような素晴らしい先生と身近に接する幸運に恵まれました。このような素晴らしい会の開催をサポートして下さった関係者の方々に深く感謝申し上げます。特に、会場設置などで急な変更があったにもかかわらず共に会の運営にあたって下さった有志の学生の皆様、共に企画・運営した同期の蟹江、片山に本当にお世話になりました。最後になりますが、我々学生の無理なお願いを快くお引き受け下さり、数多くの素晴らしいアドバイスを頂きました大隅良典先生に深く感謝申し上げます。

(細田 將太郎)

この度、SSS実行委員という大変大変貴重な経験をさせて頂きました。8月に学生アンケートを実施し、大隅良典先生に講演をお願いすることが決まったこと、大隅先生に講演依頼のメールをお送りし、お返事をドキドキしながら待ったことを、思い出します。講演依頼を快く引き受けて下さっただけでなく、「このような活動が続いていることに敬意を表します。」というお言葉を添えて下さった大隅先生のお返事はとても印象に残っています。

論文などから感じ取れた大隅先生は、トップサイエンティストでありながら、全く飾らない、実直な人というイメージでしたが、実際にお会いする大隅先生は、まさにそのイメージ通りの先生でした。当日は予定時間の15分も前から会場にお越し下さり、お話しさせて頂いた際も、僕らの話を丁寧に聞いて下さり、質問して下さるそのお人柄に大変感銘を受けました。

講演は、ほとんど誰も注目していなかったオートファジーという現象を、切り開いてきたという内容はさることながら、出てくるデータはどれも美しく、またデータの過剰な解釈をしないという大隅先生の姿勢に、科学者としてあるべき姿を教えて頂いた思いでした。

講演後は、タンパク分解について、液胞についてなどのサイエンスの話題だけでなく、留学についてなど、直接ディスカッションさせて頂くという、とてもとても贅沢な機会を頂きました。全てのお話に対して真剣に耳を傾けてくれ、意見を言って下さった大隅先生には、感謝が尽きません。本当にありがとうございました。

第14回SSSを担当できて本当に良かったです。大隅先生をお呼びできたこと、直接お話をできたことは勿論ですが、準備に際しては、とても一生懸命やってくれるだけでなく、僕のことまでも気に掛けてくれた素晴らしい同級生、急な会場変更にも関わらず、文句一つ言わず対応してくれたラボの皆の温かさ、素晴らしさを改めて感じられたことは、とても幸せでした。このような貴重な体験を無駄にすることなく、今後の自分の糧とし、精進していきたいと思います。

(蟹江 共春)

毎年楽しみにしているSSSですが、今回は担当を務めさせて頂いたことで例年以上に貴重な体験をする事ができました。会を運営する事の難しさも然る事ながら、大隅先生に講演を引き受けて頂けたときの喜びは忘れられません。

ご講演は研究内容はもちろんのことですが、1枚1枚の写真や電気泳動のデータクオリティの高さに感動し、見入ってしまいました。素晴らしいご講演だったため、ご講演後の質問が途切れることなく、泣く泣く途中で打ち切らせて頂く程でした。ご研究の内容にとどまらず、若手研究者へのメッセージやアドバイスに至るまで貴重なお話を頂きました。

夜の宴会は先生の研究に対するお考えをじっくりお聞きする事ができる贅沢な時間でした。先生の真っ直ぐな探求心や研究を楽しんで居られる姿勢を肌で感じ、先生がお帰りになった後までも学生通しのディスカッションが続いた程、とても楽しく刺激的な時間でした。大隅先生の教えをもとに、また新たな気持ちで研究に向かいたいと思います。お忙しい中このような貴重なお時間をいただき、大変ありがとうございました。

(片山 雄太)

参加していただいた学生および先生方より御感想をいただきましたので、以下に紹介させていただきます。

この度はSSSにてご講演いただきありがとうございました。大隅先生のお話を通じ、オートファジーを切り口にこれまでの分子生物学の潮流を、過去から現在にかけて俯瞰でき大変興味深かったです。先生の研究人生を振り返ると、講演でも仰っていましたが、まさに「Scienceは1人でしているのではなく、過去の蓄積の上で同時代の科学者とともに研究している」のだということを、ところどころに垣間見ることができ、いまや加速度的進歩を示す分子生物学の世界を、時に心細くも生き抜かねばならない我々にとって自信にもなりまました。同時代の科学者らとともに、大隅先生のような尽きない好奇心と探究心をもち、私自身も何らかのパイオニアとして科学の新領域を開拓していきたいと思います。

このたびは、非常にご多忙のなか福岡まで講演をしに来ていただき、本当にありがとうございました。オートファジーを世界で初めて確認した経緯から最新の研究成果までを話していただいた、興奮し心躍るセミナーも含め、研究者たる者どうあるべきかについて大いに学び考えさせられ、非常にためになる密度の濃い贅沢なひとときでした。
 私の好きな言葉に、江上不二夫先生の「人が面白いということや、いま面白いことはやるな。自分で考えたテーマを面白くせよ」というものがあります。流行は追わず、徹底した観察に基づき当時誰も注目していなかった液胞に着目し、常に疑問を持ち、考えをめぐらせ、研究を続けた末にオートファジーを発見して現在の隆盛へと導いた大隅先生は、まさにこの言葉通りの研究人生を歩んでこられたんだなとしみじみ思いました。現代では競争が激しく、時間的にも経済的にもなかなかじっくり考え、腰を据えて研究をすることが難しくなってきてはいますが、少しでも生命の本質に迫るべく、観察し、疑問を持ち考える姿勢を常に忘れず、サイエンスを楽しみながら実験をやっていきたいと思います。
 また、植物の液胞の大きさに関する考察を含め先生のお話を聞いていると、本当に一流と言われる先生方は、例外なく御自分の専門以外の分野についても幅広い関心と知識を持ち、常に疑問を抱き考える力に長けているのだなと感じました。さらに、各人の研究に対する考え方や関心を知る方法として、好きなノーベル賞受賞者や論文を選び、その理由を議論するのが良いというお話も非常に興味深く、ぜひ一度中山研でもやってみたいと思いました。
 失敗続きの実験で挫けそうになった時も、今回の先生のお話を思い出しつつ精進していきたいと思います。このたびは本当にありがとうございました。

今回のSSSでは、オートファジー研究の先駆者でいらっしゃる大隅良典先生のお話を聞くチャンスを頂きました。オートファジーという現象をいかにして発見したか、またそのメカニズムを解明するためにどのようなストラテジーで挑戦したかなど、聞いていてワクワクするような大変面白いセミナーでした。毎回感じることですが、SSSでは普段なかなか聴くことのできない一流の先生方と直接討論でき、自分の将来像を考える上でとても勉強になります。大隅先生に我々のような若輩者と真摯に向き合って下さって、本当に有り難く感じました。自分の生涯をかけるに値する研究テーマを見つけることの大切さや、現在当たり前と思われていることが実は真理ではなく、疑問をもって問題に取り組むことでその中に新たな発見があるといったことを学ばせて頂きました。これからも大隅先生から教わったことを心に抱きながら、研究生活を楽しんでいきたいと思います。

有名な先生を呼んでセミナーをしてもらうだけでなく身近にお話を聞けるSSSは非常に有意義なことだとあらためて思う一日でした。今回のお話の中で心に残った言葉は「一人でサイエンスをしているわけではない。みんなの仕事の積み重ねの上に自分のサイエンスもある。人生はコントロールを置くことが出来ない。その時々はその選択の良し悪しは分からないもの。物がいえるようなきれいな実験をする。」などなど、やや耳の痛いものから研究者として、一人の人間として今後の人生の岐路で考えさるものでした。本当にありがとうございました。

「オートファジーという、いま最もホットな話題の一つを開拓されてきた大隅先生の話は、研究の進め方や考え方など、どこをとっても非常に印象的なことばかりでした。特に、オートファジーの原因遺伝子のスクリーニングのストラテジーは素晴らしいというほかありませんでした。飲み会では、過去から現在までの研究について、非常に丁寧かつ面白くお話いただき、とても参考になりました。また、一人一人に声をかけていかれるなどの気配りは、研究者としてだけではなく、先生の人間的な素晴らしさによるものだと思い、感激しました。先生の「基礎検討とデータのクオリティが大切」という言葉を胸に、実験に励みたいと思います。

先生はとても基本に忠実な方だなと思いました。特にデータの信頼性やクオリティーの重要性については、当たり前なことではありますが、(新たな発見が多い場合には特に)いかに説得力のある実験結果を積み重ねていくことができるかということの重要性を再認識致しました。自分もこれからの実験に一層気合いを入れて取り組みたいと思いました。また、科学の時代的な流れにおいて、これからの数十年でどのような材料や手法を用い、どのようなことに取り組むべきかをよく考えたいと思います。
先生とお話するのはとても緊張しましたが、飲み会の席では意外にもチャーミングな先生の一面を見ることができ、嬉しく思いました。先生からすれば、とても未熟な私達1人1人に対してとても気さくに接して下さり、忘れられない思い出となりました。大変感謝致します。

大隅先生、この度はご多忙のなかSSSにお越しいただきありがとうございました。先生のご講演をお聴きし、オートファジー研究の黎明期から現在への研究の広がりを知ることができ、非常にエキサイティングな時間を過ごすことができました。特に印象に残っていることは先生が繰り返しおっしゃっていた「人とは違うことをすること」と「様々な事象に対して疑問を持つこと」の2点です。非常に基本的なことではありますが、これらの視点を常に磨き、研究にチャレンジし続けられたことが、オートファジー研究を現在のように大きく発展させたのだと思います。また、飲み会の席では先生のご経験を飾ることなく教えていただき、こちらもご講演以上に楽しい時間になりました。植物の液胞の話では先生の生物に対する思慮深さにとても感激したのと同時に、もっと広い視点から生物を視ないといけないなと強く感じました。今後、先生から教わった研究者としての視点を磨き、より良い研究ができるよう努力していきたいと思います。

今回のSSSのセミナー、そしてその後の飲み会を通して、大隅先生には科学の面白さや、アプローチの仕方を教えて戴けた気がします。セミナーでは、オートファジーという誰もが知る現象の発見から、分子メカニズムまで掘り下げていく過程を聞くことができました。自分で見つけた現象を、自分で見つけた分子で説明するという過程、そしてそれを楽しそうに説明して下さる大隅先生を見て、科学の面白さ、醍醐味というものを感じることができました。また、今最前線のことをやるのではなく、人がやらないことをやる、という言葉からは、先生の科学へのアプローチの仕方を教えて戴けた気がします。今回感じた様々な事を今後の研究人生に活かしていけたらいいなと思っております。お忙しい中、本当にありがとうございました。

大隅先生、はるばる博多の地へお越しいただきありがとうございました。セミナー、その後の懇親会で面白いお話を沢山聞かせていただき感謝しております。Autophagyの話を最初から聴くのは、私にとって初めての経験でした。Autophagyという現象の不思議、魅力、単細胞生物の面白さを存分に味わうことができました。また、Autophagyはもとより、大隅先生がどのように生命現象を見ているのかという一端を垣間見ることができ、忘れられないセミナーとなりました。懇親会では、自分がやりたい科学を見つける方法や、人生のターニングポイント、留学、液胞など多岐にわたるお話を聞かせていただきました。その中で、「私の自慢は自分のところから出した論文で間違っていたと思うものは一つもないことです。」という言葉が何より印象的でした。研究姿勢に関する大隅先生の考え方に触れて、自分の仕事をピッカピカに磨き上げることが何よりも大事なのだと再認識させていただきました。最後になりますが、大学院生という研究哲学を確立する2度とないこの大切な時期に、Autophagyというすばらしい研究を通して、大隅先生の哲学に直に触れられた幸運に、あらためて感謝いたします。誠にありがとうございました。

まず、お忙しい中ご講演して下さった大隅先生、またこの会を開催して下さった先輩方に御礼もうしあげます。ありがとうございました。ご著名な先生がいらっしゃるということで非常に緊張してSSS及び食事会に臨みましたが、とても気さくにお話しくださったので、緊張しつつも質問もどんどんでき、とてもためになる時間を過ごさせて頂きました。ご研究の内容、とくにクローニングの部分も面白かったですが、その後の食事会で主にお話し頂いた、ラボの選び方から研究者としての考え方、どんなことをすべきか、などは特に常に念頭において今後の研究生活(まだ始まったばかりですが)を続けていきたいと思います。この度はお忙しい中九州までお越し頂いて本当にありがとうございました。

新しい現象の発見とそのメカニズムの解明を見事に達成されたことに非常に驚くとともに研究の醍醐味を強く感じました。また先生のスライドの中で沢山のオートファジーに対する疑問が紹介されていたことが印象的で、それらの疑問がどのように解決されていくのか、今後のさらなる発展が楽しみです。またお酒の席で先生とお話しできたことは研究者としての将来を改めて考える機会となりました。特に『ファンがいるような研究者』という言葉はとても分かりやすく、目指すべき研究者像だと感じました。この度、先生とお話しでき学べたことを大変うれしく思います。ありがとうございました。

九州大学 生体防御医学研究所
分子医科学分野
細田 將太郎・蟹江 共春・片山 雄太(博士課程3年)