Student-selected seminar (SSS) に寄せて

私が米国ワシントン大学に留学中、最も印象的だったことの一つは、学生主催のセミナーがあり、それにノーベル賞級の科学者が呼ばれてくることであった。学生がそのようなことを企画立案するだけでも日本ではあり得ないと思ったが、呼ばれた方も「たかが学生」とバカにせず、きちんと引き受ける姿にも感心した。しかし後になって、欧米では「学生に選ばれて招かれることは研究者にとって最高のプレステージである」ことを知った私は、我が国との差を歴然と見せつけられたように思えたものである。

日本の学生をもっと変えなくてはならない」。十年前も今もそう思う。良いことは恥じらいもなくマネをしよう。悪いことは反面教師として利用すればいいではないか。「学生主催のセミナー」を是非日本でも定着させたい、との思いから、初めの何年かは嫌がる学生に半ば強制的にやらせてきた。学生が選んできた候補者リストを何度もダメ出しした。「世界一流でなくては意味がない」、と。学生も初めは「やらされている」という受動態から、年を経る毎に、自ら「やる」という能動態になってきた。これぞ本来の姿である。夜は時間が許す限り、学生と一緒に酒を酌み交わして、科学に対する熱い思いを聴かせていただこう。それだけでも君達には滅多にない貴重な機会だ。私だって参加したいが、涙を呑んで教授室にいることにしている。

ほとんどの場合、講演者の先生方には快く引き受けていただいた。さすがに世界的なレベルの科学者は見識があり、了見が広い。しばしば「九州大学の学生は熱心だ」というお褒めの言葉をいただくが、それは一朝一夕に出来上がったものではない。そして何より、九州大学だけでは困る。「日本の学生かくあるべき」。そうではないか、諸君。

教授 中山 敬一

歴代講演者

第1回 1999年度 水野美邦先生 (順天堂大)
第2回 2000年度 本庶佑先生 (京大)
第3回 2001年度 岡野栄之先生 (慶大)
第4回 2002年度 西田栄介先生 (京大)
第5回 2003年度 竹縄忠臣先生 (東大)
第6回 2004年度 柳田充弘先生 (京大)
第7回 2005年度 竹市雅俊先生 (理研)
第8回 2006年度 廣川信隆先生 (東大) 学生の感想は こちら から
第9回 2007年度 長田重一先生 (京大) 学生の感想は こちら から
第10回 2009年度 中西重忠先生 (大阪バイオサイエンス研究所) 学生の感想は こちら から
第11回 2009年度 利根川進先生 (MIT・理研BSI) 学生の感想は こちら から
第12回 2009年度 谷口維紹先生 (東大) 学生の感想は こちら から
第13回 2010年度 清水孝雄先生 (東大) 学生の感想は こちら から
第14回 2011年度 大隅良典先生 (東工大) 学生の感想は こちら から
第15回 2012年度 井村裕夫先生 (先端医療振興財団) 学生の感想は こちら から
第16回 2013年度 永田和宏先生 (京都産業大学) 学生の感想は こちら から
第17回 2014年度 柳沢正史先生 (筑波大学) 学生の感想は こちら から
第18回 2015年度 森和俊先生 (京都大学) 学生の感想は こちら から
第19回 2016年度 仲野徹先生 (大阪大学) 学生の感想は こちら から
九州大学 生体防御医学研究所
分子医科学分野
教授 中山 敬一