九州大学 生体防御医学研究所

生体防御医学研究所 防御分子構築学分野 客員准教授の揚妻 正和 博士にセミナーをお願いしました。
今回のセミナーでは、光学的アプローチと機械学習を駆使した新たな脳機能に関する研究をご講演いただきます。皆様、是非ご来聴下さい。

演題 / Title

光と機械学習による恐怖記憶コードの解読

演者 / Speaker

揚妻 正和 先生
生理学研究所 生体恒常性発達研究部門・特任准教授

日時 / Date

2019年9月19日（木）　Sep. 19 (Thu), 2019
16：00～17：30

場所 / Venue

病院キャンパス　生体防御医学研究所　本館1階　会議室
以下の地図の29番です。
（http://www.kyushu-u.ac.jp/f/35767/2019hospital_2.pdf）

Seminar Room, Main Building 1F, Medical Institute of Bioregulation, Hospital Campus
No.29 on the following linked map.
（http://www.kyushu-u.ac.jp/f/35768/2019hospital-en_2.pdf）

要 旨 / Abstract

大脳皮質の中でも内側前頭前野（mPFC）は、「情動」を含む多様な高次脳機能を担う部位である。そのため様々な精神疾患との関連も指摘され、臨床的観点でも重要な研究対象である。それら脳機能を成立させるには内部神経回路による緻密な演算処理が鍵となるが、その制御機構に関する知見は限定的である。
これまでの研究により、このような脳内での情報処理おいて、とくに大脳皮質においては、個々の細胞単独ではなく「神経細胞集団」として同期的な活動が必須であることが示唆されてきた。その集団としての制御実態を把握する上では、単一神経細胞分解能で多数の神経から活動を記録する必要があるが、従来は技術的な制約により困難であった。そこで我々は、独自に開発した「光学技術（２光子イメージング、光遺伝学など）」を組み合わせ、生きた動物のmPFCの中での、学習過程における経時的変化を記録することを可能とし、この課題に挑んでいる。
今回の発表では、機械学習アルゴリズムによる解析を通じて明らかになってきた「恐怖記憶コード」の実体に迫る。

参考論文 / References

1. Agetsuma M., Hamm J.P., Yuste R., et al.
   Parvalbumin-Positive Interneurons Regulate Neuronal Ensembles in Visual Cortex.
   Cerebral Cortex, 28, 1831-1845 (2018)
2. Dejean C., Courtin J., Herry C. et al.
   Prefrontal neuronal assemblies temporally control fear behaviour.
   Nature, 535, 420-424 (2016)
3. Karnani M.M., Agetsuma M., Yuste R.
   A blanket of inhibition: functional inferences from dense inhibitory connectivity.
   Curr Opin Neurobiol., 26, 96-102 (2014)
4. Agetsuma M., Aizawa H., Okamoto H.,et al.
   The habenula is crucial for experience-dependent modification of fear responses in zebrafish.
   Nature Neuroscience, 13, 1354–1356 (2010)

連絡先 / Contact

生体防御医学研究所　脳機能制御学分野
中別府 雄作
092(642)6800