第733回 生医研セミナー(多階層生体防御システム研究拠点)
免疫機構研究セミナー


下記の通り、金山 剛士 先生によるセミナーを開催致します。皆様方のご参加を心よりお待ちしております。

演題

真菌感染症における自然免疫恒常性の維持機構

演者

金山 剛士 先生
デューク大学 免疫学部門・リサーチアソシエート

日時

2017年1月17日(火) 17:00 ~18:30

場所

病院地区キャンパス内 生体防御医学研究所 本館1階 会議室
以下の地図の24番です。
(https://www.kyushu-u.ac.jp/f/28545/hospital_jp.pdf)

要 旨

免疫系は、免疫の暴走による自発性炎症の発症を抑制しながらも、宿主防御のため強力な免疫応答を誘導しなければならないという「免疫学的なジレンマ」を抱えている。しかしながら、感染症において免疫系がどのようにこの問題を解消しているのか、詳しいメカニズムは十分に解明されていない。本研究では、マクロファージの活性化制御メカニズムに着目し、「免疫学的ジレンマ」を解消する仕組みを明らかにすることを目的としている。マクロファージ、とりわけ組織常在性マクロファージは、病原体に感染した組織において、最も早く病原体を感知する細胞の一つであり、生体防御の中心的な役割を担っている。マクロファージは、自然免疫や獲得免疫を活性化させ、免疫反応全体に影響を与える重要なトリガーとして機能することから、免疫の暴走を抑止するため、マクロファージの分化や活性化は精密に制御されていると考えられる。本セミナーでは、我々のこれまでの報告をもとに、真菌感染症におけるマクロファージの機能制御を主軸として、自然免疫が免疫恒常性の維持と免疫応答の誘導を両立する仕組みについて述べる。

参考文献

  1. Kanayama M and Shinohara ML. Roles of Autophagy and Autophagy-Related Proteins in Antifungal Immunity. Frontiers in Immunology, 7: 47, 2016
  2. Kanayama M, He YW and Shinohara ML. Lung is protected from spontaneous inflammation by autophagy in myeloid cells. The Journal of Immunology, 194(11):5465-71, 2015
  3. Kanayama M, Inoue M, Danzaki K, Hammer G, He YW and Shinohara ML. Autophagy enhances NFκB activity in specific tissue macrophages by sequestering A20 to boost anti-fungal immunity. Nature Communications, 6, 5779-5792, 2015

連絡先

生体防御医学研究所 免疫遺伝学分野
福井 宣規 092(642)6828