第661回 生医研セミナー(多階層生体防御システム研究拠点)
免疫機構研究セミナー

下記の通り、ソーク生物学研究所の曽田 泰 先生によるセミナーを開催致します。
曽田 泰 先生は、レンチウイルスベクターの開発者で、PNAS誌のチーフエディターのDr.Vermaラボで現在マウスにヒト型腫瘍の作製研究を行っておられ、大変興味深い結果を多く報告されてきています。皆様の積極的なご参加をお待ちしています

演題

グリオブラストーマにおける抗血管療法抵抗性のメカニズム:腫瘍由来内皮細胞の役割とその標的化による抗腫瘍効果

演者

曽田 泰 先生
ソーク生物学研究所 遺伝学研究室 上級研究員

日時

2013年 11月27日(水) 19:00~20:00

場所

九州大学 病院キャンパス内 総合研究棟 セミナー室105
以下の地図の1番の建物になります。
(http://www.kyushu-u.ac.jp/access/map/hospital/hospital.html)

要旨

グリオブラストーマ(GBM)は脳腫瘍の中で最も悪性度が高く、極めて難治性の腫瘍である。GBMは非常に腫瘍血管に富んでいるため、最近、抗VEGF抗体bevacizumab等の抗血管療法が試みられてきたが、効果は一過性で生存期間を延長することはできなかった。我々は、抗血管療法抵抗性の原因メカニズムを明らかにするため、マウスGBMモデルを用いて検討を行ったところ、以下の結果が示された。1) 我々が開発したレンチベクターを用いたマウスGBMモデルはヒトGBMの特徴を組織学的にも遺伝学的にもよく再現していた。2) 一部の腫瘍血管は腫瘍細胞が分化した内皮細胞(TDEC)により構築されていた。3) TDECは抗VEGF療法に対する抵抗性の一因と考えられた。4) ヒトGBM初代培養細胞移植モデルにおいてもTDEC は抗VEGF療法抵抗性に関与していた。5) TDECの形成にはFGFシグナルおよびHIF-1の活性化が重要であった。6) さらに、これらの経路の抑制による抗腫瘍効果と問題点について検討を加える。

連絡先

生体防御医学研究所 ゲノム病態学分野
谷 憲三朗
電話:092-642-6434