第598回 生医研セミナー(多階層生体防御システム研究拠点)
グローバルCOE理医連携セミナー
免疫機構研究セミナー

下記のとおり、渋谷 彰 先生のセミナーを開催致します。皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

演題抑制性免疫受容体による肥満細胞の活性化制御

演者渋谷 彰 先生
筑波大学 医学医療系免疫制御医学 教授

日時平成23年12月15日(木)17時〜18時半

場所馬出医学系キャンパス内 生体防御医学研究所 本館1階 会議室
以下の地図の21番の建物になります。
http://www.kyushu-u.ac.jp/access/map/hospital/hospital.html

要旨  アレルギーの発症は、抗原(アレルゲン)の感作から始まり、多様で複雑な免疫応答ネットワークを経て、最終的には、生成された抗原特異的なIgE抗体と抗原との免疫複合体が肥満細胞上に発現する高親和性IgE受容体(FceRI)を架橋することによって、肥満細胞からの脱顆粒が誘導され、引き起こされる。一方で、肥満細胞はToll様受容体などを発現し、病原体を直接認識し、炎症性サイトカインやケモカインを分泌することで、炎症反応の始動においても重要な役割を担っている。
 一般に、多くの免疫細胞は細胞質内領域にimmunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif (ITIM)と呼ぶモチーフを有する抑制性免疫受容体を発現する。抑制性免疫受容体は、抗原や病原体の認識による免疫細胞の活性化を負に制御し、自己寛容や生体のホメオスターシスの維持に働いている。本講演では、我々が同定したアレルゲンや病原体による肥満細胞の活性化を制御する抑制性免疫受容体Allergin-1 やMAIR-Iに関する最近の研究成果を紹介し、これらを基盤としたアレルギーや炎症に対する分子標的療法の可能性について考察する。

参考文献:
  1. Yotsumoto K, et al, J Exp Med, 198:223-233, 2003
  2. Hitomi K, et al, Nat Immunol, 11: 601-607, 2010
  3. Nakano-Yokomizo T, et al, J Exp Med, 208:1661-1671, 2011

連絡先生体防御医学研究所 免疫遺伝学分野
福井宣規
電話:092-642-6827


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