第557回 生医研セミナー(多階層生体防御システム研究拠点)
グローバルCOE理医連携セミナー

下記のとおり、倉地幸徳先生・倉地須美子先生によるセミナーを開催致します。多くの皆様のご来聴をお待ちしております。

日時平成22年9月8日(水)18時より19時まで

場所馬出医学系キャンパス内 総合研究棟 セミナー室 105
以下の地図の1番になります。
http://www.kyushu-u.ac.jp/access/map/hospital/hospital.html

演題年齢軸恒常性機序の解明に向けて

演者倉地 幸徳 先生
九州大学理事(副学長)

倉地 須美子 先生
九州大学生体防御医学研究所共同研究員

要旨 年齢は,加齢・老化の本質的要素であり,また多くの疾患の危険因子として知られる。年齢軸に沿って変動する健康な体は、どのような分子機序の調節下にあるのであろうか。この年齢軸恒常性研究分野は,長い間未知の領域にあった。幸い、我々は最初の年齢軸恒常性分子機構、ASE/AIE型年齢軸遺伝子調節分子機構(ASE/AIE-mediated genetic mechanism for age-related gene regulation)、を発見した。この機構には、二つの遺伝子エレメントASE及びAIEが関与しており、それらの組み合わせにより、年齢軸に沿った遺伝子発現の4通りパターンが演出されるが、遺伝子発現の思春期スイッチ制御機構でもある。さらに我々は、思春期とともに自然治癒していくヒト疾患、血友病B Leyden(血友病のサブクラス)、の詳細な病理機序解析により、この機構がヒトでも機能することを証明した。ASE及びAIE(このエレメントはRNAとして機能)結合核内蛋白質の同定も達成している。この背景に立って、新たな年齢軸恒常性調節分子機序の探索と年齢軸恒常性調節の統合的理解を目指し、マウス(C57BL/6 x SJL)をモデルに、肝遺伝子と蛋白質(核と細胞質、ミトコンドリア分画)の一生スパン・エージ軸に沿った発現変動の網羅的定量解析をDNAマイクロアレー法及び二次元電気泳動と質量計を用いて行い、得られた情報を汎用性の高いデータベースに構築した。これらの研究成果は、加齢・老化や年齢依存性疾患の研究、新概念に立った疾患予防・治療法の開発等にとって極めて有用であろう。

連絡先生体防御医学研究所 ゲノム病態学分野
谷 憲三朗
電話:092-642-6434


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