九州大学生体防御医学研究所

細胞機能制御学部門

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             研究内容
 私たちの研究室では哺乳動物の「発生」と「再生」について研究を行っています。特に、肝臓や腸、食道などの一般的に内臓と呼ばれる消化器系器官の発生メカニズムや損傷後の再生メカニズムの解明に向け、遺伝子、細胞、組織、器官、個体レベルの実験を通じて多角的に研究を進めています。
 肝臓や腸、食道などは同じ前腸内胚葉から派生するため、言わば親戚関係にあると言えます。ところが、それぞれの器官発生や器官再生、恒常性維持のメカニズムは驚くほど複雑であり、その多様性に驚かされます。我々が着目する幹細胞や前駆細胞を例に挙げますと、発生の初期過程においては幹細胞や前駆細胞が個々の器官特有の分子メカニズムに従って活発に分化・増殖して器官形成の基盤を構築します。この点は各器官で共通していますが、器官形成を終えた成熟段階では、その恒常性維持や再生に対する幹細胞や前駆細胞の存在意義が大きく異なります。 例えば、腸や食道は常に新しい細胞を供給する幹細胞の存在が必要不可欠であり、秩序のある幹細胞システムが存在する器官と言えます。しかしながら、肝臓では恒常的な細胞分裂の頻度は低く、幹細胞の存在やその必要性に疑問が残ります。また、肝臓は高い再生能を有する器官ですが、その肝再生に対しても幹細胞は積極的に関わっていないと考えられています。
 我々は、幹細胞の存在が曖昧な肝臓と、幹細胞システムの存在が不可欠な腸や食道を研究対象とすることで消化器系器官に存在する幹細胞システムの多様性を包括的に捉え、その詳細なメカニズム、および疾患との関係について研究を進めています。肝臓では、その複雑かつ巧妙な再生様式の解明と隠された幹細胞システムの発見を目標に研究を推進しています。そして、その成果を肝再生不全から生じる病変(繊維化や肝硬変、肝がんなど)の発生機序の解明、および治療技術の開発につなげたいと考えています。また、幹細胞システムを理解しやすい腸や食道においては、幹細胞の自己複製や細胞分化のメカニズム、幹細胞の性状異常と腫瘍形成の関連性について研究を行っています。将来的には、得られた知見や技術を結集してさらに研究を進め、肝臓や膵臓、胃、腸、食道などの消化器系器官全般に対する再生制御と疾患治癒を実現したいと考えています。