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九州大学 生体防御医学研究所 ゲノム病態学分野

九州大学生体防御医学研究所
悪性腫瘍に対する新規免疫・遺伝子治療薬開発研究部門

Division of Translational Cancer Research, Medical Institute of Bioregulation, Kyushu University

沿革

新日本製薬からの寄附研究部門として2011年7月1日に発足しました。


▲開講式にて

准教授は日本人1名、大学院生は日本人1名、中国人1名(共に博士課程2年)、
エジプト人1名(博士課程3年)と国際色豊かな研究室です。

▲実験風景

共通語は英語で、 英米人が聞いたらすさまじいbroken Englishが乱れ飛んでいると思うのですが、
不思議に通じ合っているようです。留学気分を味わいたい方、古代文明好きの方、もちろん研究内容に
興味のある方も高橋まで御連絡下さい。
電子メール:atsushit☆sentan.med.kyushu-u.ac.jp (☆は@に変更してください。)

研究内容

FEATを利用した癌早期発見と癌予防の両輪で、癌による死亡を激減させることを目標に研究しています。

(1)新規腫瘍促進タンパクの機能解析から癌予防へ

私たちはアポトーシス細胞死を制御するタンパクを研究する過程(代表論文4, 5)で、新たな
腫瘍促進タンパクFEATを見出しました。
 FEATは、精巣以外の正常組織ではほとんど検出されません。一方で、ヒトの肺癌、大腸癌、胃癌、
膵癌、膀胱癌、甲状腺癌、前立腺癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌、網膜芽腫の癌細胞の中で異常に多量の
FEATタンパクが検出されました。FEATが胸腺、脾、肝臓、肺で異常に増えた遺伝子改変マウス
(トランスジェニックマウス)では、特別な処置をせずに正常に飼育していても、悪性リンパ腫
(48%)と肝癌(35%)が発生しました(代表論文1)。

参考資料
論文の要旨(日本語)
■九州大学プレスリリース [PDF]
西日本新聞(2011年6月20日)
(中国語)
九州大学研究者情報

 FEATが異常に増加した癌は、日本人に多い癌をほぼ網羅しており、約8割に及ぶと試算されます。
しかも初期の癌や癌になる直前の病変(前癌病変)でも増えることがわかりました。そこで、FEATが
多数の癌に共通の分子異常であることを利用して、FEATを標的分子として、多数の癌を予防するワクチンや薬剤を作るべく研究を進めています。夢のような話ですが、これまでは夢を語る元さえもなかったのですから、夢をあきらめず、日々努力したいと考えています。

(A) 免疫反応による癌予防

FEATに対する免疫反応を利用して癌を予防できないか、マウスモデルやヒトの血液細胞を用いて調べて
います。癌抗原を用いて強力な免疫細胞を誘導しても、immunoediting注1が進んだ進行癌に対しては歯が立たないかもしれません。しかし、前癌病変や初期の癌の段階では、免疫療法の手法で撲滅できるのでは
ないでしょうか。つまり、巨大な怪物に成長してから力づくで倒そうとするのではなく、ヒナあるいは卵の段階でやっつける作戦です。

臨床研究24-46「FEATを標的とした樹状細胞および細胞傷害性Tリンパ球の誘導とT細胞受容体cDNAの
クローニング」についてはコチラ

(B)FEAT阻害薬の開発

癌予防薬を目指し、FEATの酵素活性を測定するアッセイ系を構築し、それを用いてFEATの酵素活性を
阻害する化合物を見出そうとしています。FEATの機能が消失した場合の副作用を予想するために、
FEATノックアウトマウスを作成中です。(→学会発表 [2012][2013b])その研究過程で、FEATと
相互作用するタンパクの解析から、FEATの細胞内機能が明らかになってきました。
(→学会発表 [2013a][2014a][2014b][2015a])

(2)FEATを分子標的とした癌の早期発見

FEATが大多数の癌で増えていることから、血中のFEATを測定することで、不特定多数の癌の早期発見のためのスクリーニング(症状が発生する前の検査)が出来る可能性があります。新日本医薬総合開発研究室から共同研究員の派遣を受け、感度の高い検出キットを現在作製中です。(→学会発表 [2013])
参考資料
■日経産業新聞(2015年3月23日)[PDF]
臨床研究24-97「血中FEATタンパク測定による癌診断法の開発」についてはコチラ

(3)FEATの発現制御機構

FEATが癌で増加する機序を解明することで、癌のより深い理解を目指しています。また、FEATは
急性白血病において特徴的な発現を示すことがわかり、急性白血病の予後予測や治療に役立てられないか、検討を進めています。
 また、なぜ精巣でのみ発現するのか、その機序も興味深いと思います。プロモーターやエンハンサーの
同定、解析からその謎に迫っています。(→学会発表 [2015b])

代表論文

  • Takahashi A, Tokita H, Takahashi K, Takeoka T, Murayama K, Tomotsune D, Ohira M, Iwamatsu A, Ohara K, Yazaki K, Koda T, Nakagawara A, Tani K: A novel potent tumour promoter aberrantly overexpressed in most human cancers. Sci. Rep. 2011; 1: 15. [PDF] 
  • Kobayashi S, Yamashita K, Takeoka T, Ohtsuki T, Suzuki Y, Takahashi R, Yamamoto K, Kaufmann SH, Uchiyama T, Sasada M, Takahashi A: Calpain-mediated X-linked inhibitor of apoptosis degradation in neutrophil apoptosis and its impairment in chronic neutrophilic leukemia. J. Biol. Chem. 2002; 277: 33968-33977. [PDF]
  • Yamashita K, Takahashi A, Kobayashi S, Hirata H, Mesner PW, Kaufmann SH, Yonehara S, Yamamoto K, Uchiyama T, Sasada M: Caspases mediate TNF-alpha-induced neutrophil apoptosis and downregulation of reactive oxygen production. Blood 1999; 93: 674-685. [PDF]
  • Hirata H, Takahashi A, Kobayashi S, Yonehara S, Sawai H, Okazaki T, Yamamoto K, Sasada M: Caspases are activated in a branched protease cascade and control distinct downstream processes in Fas-induced apoptosis. J. Exp. Med. 1998; 187: 587-600. [PDF]
  • Takahashi A, Alnemri ES, Lazebnik YA, Fernandes-Alnemri T, Litwack G, Moir RD, Goldman RD, Poirier GG, Kaufmann SH, Earnshaw WC: Cleavage of lamin A by Mch2 alpha but not CPP32 - Multiple ICE-related proteases with distinct substrate recognition properties are active in apoptosis. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1996; 93: 8395-8400. [PDF]
  • Takahashi A, Satake M, Yamaguchi-Iwai Y, Bae S-C, Lu J, Maruyama M, Zhang YW, Oka H, Arai N, Arai K-I, Ito Y: Positive and negative regulation of granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF) promoter activity by AML1-related transcription factor, PEBP2. Blood 1995; 86: 607-616. [PDF]    [新規腫瘍促進タンパクの機能解析から癌予防へ]

注1:Immunoediting
A phase of immune surveillance thought to occur if tumor cells are not completely eliminated as a result of their initial recognition by the immunes system. During this phase, further mutation of the tumor cell occurs and cells that escape elimination by the immune system are selected for survival. (Janeway’sImmunobiology, 8th ed., 2012)        [免疫反応による癌予防へ]