研究内容

遺伝子発現制御に関わるゲノム・エピゲノム解析

哺乳類の生物種間で局所的に保存しているゲノム配列。NRSFという転写因子の認識配列(下)のパターンに相当することから、この転写因子が結合する部分であると考えられる。

エピゲノムに関する国際的なプロジェクトの進行に伴い、組織や発生段階に特異的な遺伝子の発現制御についての理解が進んでいます。私たちの研究室は、国際ヒトエピゲノムコンソーシアム(IHEC)のメンバーとして、ヒトエピゲノムのデータ解析を進めています。特に生殖発生に関わる細胞を対象としています。また、新学術領域「性差構築の分子基盤」のメンバーとして、性差の構築・維持に関わる遺伝子発現制御についての研究も進めています。さらに、このような遺伝子発現制御機構の分子進化についても研究をおこなっています。特に生物種の表現型の違いを説明できるような遺伝子発現制御機構の生物種間での差を見出すことを目指しています。



スプライシング制御機構

データ解析から推定されたdynamin 1遺伝子における排他的スプライシングの制御機構。RNAの二次構造形成(ピンクと水色の間)とスプライシング制御因子(赤丸)の拮抗により、エクソン10aと10bが排他的に選ばれていると考えられる。

真核生物の遺伝子の多くは、選択的スプライシング(alternative splicing)により、一つの遺伝子座から複数の転写産物を生成します。その制御機構や分子進化を解明することを目的として研究を進めています。最近、エクソン・スキップ型の選択的スプライシングの制御に関わるシス因子のネットワークを明らかにしました。現在、より高度に制御されている、排他的スプライシングについての比較ゲノム解析をおこなっています。最近、スプライシングもエピジェネティックな制御を受けることが明らかになってきており、このような最新の知見を踏まえた上で、さらに詳細なメカニズムやその進化について調べていきます。


疾患原因遺伝子の探索

大きな画像(1261px X 725px)は、こちらをご覧下さい。
エクソーム解析により見つかったアミノ酸置換をもたらす変異。上側の灰色の縦棒は各部位でのアリル頻度を表し、下側の灰色の横棒は次世代シーケンサーで読まれたそれぞれの配列に相当する。参照配列と異なる部分が色で示してある。この図のほぼ中央に見られる変異は約半数の配列に存在するため、このサンプルにおいてヘテロであることがわかる。

私たちの研究室では複数の遺伝性疾患についてエクソーム解析を進めています。このエクソーム解析という方法は次世代シーケンサーの登場により脚光を浴びるようになった大変強力な解析法で、これにより疾患原因遺伝子の探索が劇的に進歩しています。今後は、自分たちの強みである比較ゲノム解析の手法も応用し、疾患原因の特定に貢献していけたらと考えています。今後とくに力を入れていきたいと考えている領域なので、これからエクソーム解析を行いたいと考えておられる先生方、また、疾患原因遺伝子の探索を自分の手で進めてみたいと考えている学生や若手研究者の方々、ぜひ声をかけて下さい。




データ解析研究における共同研究の推進

次世代シーケンサーを使ったゲノム・エピゲノム解析や遺伝子発現解析では、コンピュータを使って膨大な量のデータを解析しなければなりません。また、様々な生物種のゲノム配列決定の進行に伴い、比較ゲノム解析の応用範囲も広がっています。このように、分子生命科学研究におけるデータ解析に対する比重は著しく増加しています。この傾向は、決して一過性のものではなく、今後はさらに強まる一方であるだろうことは疑う余地がありません。このような状況において、最新のデータ解析法による新たな分子生物学的知見の獲得を目指し、積極的に共同研究を進めています。また、データ解析研究の普及のための教育活動もおこなっています。いつでもコンタクトください。

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