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 2017.6.13
   更新


 教授挨拶

教授:吉開泰信  class

   就任の挨拶   (平成14年3月1日)

 『生体防御』という言葉に出会って20年になります。生体防御とは侵入してきた微生物等の異物とい、癌等の自己由来の不要成分を処理し、個体の独立性、恒常性を維持する仕組みをいい、野本亀久雄名誉教授(九州大学生体防御医学研究所)がはじめて提唱された言葉です。「複雑な現象から単純な原理を導きだすこと。兵法にしても単純な原理から無限大の方法が出てくる。複雑な現象へと導く弁証論的学問の展開をするな」。「生命現象は密教曼陀羅(宇宙の秩序を描いたもの)的な大きな思考回路で考えよ。」恩師より聞くscienceの基本姿勢はまるで宗教の教典を教わっているようでした。
 『生体防御』は今では20以上の大学にその名を冠する専攻、講座があり、また国際的学術雑誌にhost defenseの項目が設けられているように、世界的に定着した言葉といっても過言ではないと思いますが、研究をはじめた当時はまだなじみがなく、私自身、免疫と何が違うのだろうと疑問に思っていました。しかし、動物を用いた細菌感染症モデルを用いて、その防御機構を解析していきますと、上皮系による物理的バリアー、食細胞を中心とした自然免疫、リンパ球による獲得免疫といったように細菌の侵入からの時間軸にそって様々な防御因子が有機的に連携して自己という個体の存在を守るべく戦っていることがわかりました。微生物に対して一生懸命戦っているこの一大生命現象を生体防御とよぶこと身を
持って理解することができました。恩師のもとで10年間「生体防御学」を学んだ後、名古屋大学医学部付属病態制御研究施設生体防御研究部門という『生体防御』を冠する教室に教授として招聘してもらえたのは幸せなことでした。
 それから11年間、名古屋大学で一緒に研究した教官、大学院生、研究生、学生、そして教室のスタッフは100人にのぼります。その間、生体防御機構が個体発生をくり返しながら進み、また逆にリンパ組織の発生に見られるように、発生学にも生体防御理論があてはまることが明らかになるにつれて、ようやく、生体防御は密教曼陀羅的な大きな思考回路を持たなければ理解できないといわれた恩師の言葉が理解できるようになってきました。
 平成12年の沖縄サミットで打ち上げられた感染症研究分野での日本の国際貢献の公約は、平成13年度4大感染症研究拠点の新設という形で身をむすびました。私は平成14年3月からその感染症研究拠点の一つである九州大学生体防御医学研究所附属感染防御研究センターに転任しました。『生体防御』の発祥の地にまた戻れたことを重くうけとめ、生体防御研究の発展に微力ながら全力を尽くつもりです。今後とも御支援、御鞭撻を賜りますよろしくお願い申し上げます。